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果たせなかった約束

和道経営の会メンバーの、山形県新庄市の「大黒屋」さんの社長
田澤賢一様のご逝去の報に接し慎んでお悔やみ申し上げます。

享年53歳。
家族思い、社員思いの優しい社長様でした。




出張からの帰り道に、突然飛び込んできた訃報に、とても驚き、ショックを受けた。
新幹線の中で通話はできず、幾度かのメールのやりとりでそれが真実ということが分かり、
残された社員さんたちのこと、ご家族のことなど考えているうちに怖くなってきた。

10日ほど前にたまたまお目にかかった人の話によればお元気だったとのこと。

突然の、本当に誰一人として予想できない、本当に突然の死だった。



心優しい田澤さんは、少しお酒を飲むと本音が出る。
夜遅くに電話がかかってくると、普段は聞くことのできない話しも多かった。
思いの丈を、ほんの少しお酒の力を借りて振り絞ってくれた。
おクチがなめらかになるので蕩々とお話は続く。
もっぱら聞き役の私は、同じ話が繰り返されると少々面倒になったものだ。

それでも、普段はなかなか伺うことのできない思いを聞くにつけ
情のある、優しい人だったこと、
そして、押しつぶされてしまいそうなほどのプレッシャーと戦う
責任感の強い方だったと色々なことが思い起こされる。

「青年部会」を開催していた最中のこと……
突然、その会場に乱入してきて、後輩達にエールを送ってくれたことがある。
「悔いの残らない仕事をしろ」「若いうちしかできないことがある」と
日頃、物静かな田澤さんにしては珍しく興奮気味で、
驚く反面、こんな一面もあったのか! と思った。

青年部会へ出席できるのが39歳までという条件だった。
「1歳ほどオーバーしているので出ませんが」という前置きがあったので
その時、田澤社長は40歳か41歳だったことになる。

それから12年後の突然のご逝去だ。

最後の夜の電話で、頼まれたことがある。

「オヤジが死ぬ前に、一度、上田でオヤジの話しをみんなで聞きたいんだ」

自分が依頼をしても実現しにくい、後輩もあつまりにくいから
私に音頭をとってくれという依頼だった。

オヤジというのは、長野県上田市の「ゆたかや」会長の堂平信也氏のこと。
田澤氏は、若い頃に呉服屋の商売を勉強するために、ゆたかやの門をくぐった
修業生の一人で、四年間ここで修行をして山形県新庄市の自分の店へ戻った。
修業当時のことはあまり知らないし、OB会に出席をしたこともないが、
当社の客員顧問が長いことお世話をしていたOB会だったので、
私に白羽の矢がたったのかもしれない。


「オヤジが死ぬ前に」は、田澤さんが酔ったときのキャラクターがなせる言葉。
堂平氏に対する、親愛の情であり、少々毒舌を気どったカッコイイ男のいいぐさ。

いつも腰が低く、言葉を選びながらゆっくりと話すしらふの時の田澤社長も好感を持てる人柄だったが
酔っ払ったときの、なんとなくガラッパチな感じもまた彼の一面ではなかったか。


「必ず」とか「いつ」

という具体的な約束をした訳ではなく、なんとなく雑談のように

「そのうち計画しましょうね〜♪」などと軽く返事をして、酔っ払いとの電話を切った。
それが田澤さんとの最後のコミュニケーションとなった。


猛烈な後悔!

私が音頭を取る筋合いのものではないが、無理をしてでもやっておけばよかった。
そんな思いが自分の中をよぎった。



果たせなかった約束がまた1つ、増えてしまった。



「今でしょ」で一躍人気上昇中の予備校講師の林修さん。
今やれないこともあるんだよ〜! と言いたい時もあるが、
確かに「今でしょ」なんだよなぁ。



今日で命が終わりだとしても悔いのない人生を生きることができたら
どんなにすばらしいだろうとおもいつつ、
永遠に生きたとしても、1つも飽きることのない人生を生きることができたら
どんなにすばらしいだろうとおもいつつ、


今日もまた、いいかげんな自分を許し、出来ない自分を許し、
後回しにしている自分を許している。
多くの人を傷つけ、多くの人に許されて、生かされてここにいる。


田澤社長がどんなにか生きたかっただろうと思うと、無念でならない。
田澤社長が生きたくても、生きられなかった今日を私は生きている。


果たせない約束は、二度とかなわないが、
遠くから田澤社長に手を合わせ、ご冥福を心からお祈りすると共に、
いつもこの果たせなかった約束を背負って、命日には手を合わせようと思う。




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